San Fransisco Firebells|内野手別府 日向乃
男子社会人野球で磨き続けた挑戦する力
別府選手は現在、GENESIS FUKUOKAで唯一の女子選手としてプレーしています。男子選手の中でプレーすることに最初は戸惑いもあったと言います。「男子の中では、ここでプレーする価値を証明し続けないといけないという気持ちが常にありました。」そんなプレッシャーの中でも、高いレベルで野球を続けたいという思いが、自身を成長させてきました。
一方で、女子野球の舞台に立ったときには違う感覚がありました。ただ純粋に野球を楽しんで良いのだと。男子でも女子でも、野球への情熱は変わらない。だからこそ、自分の可能性を広げるため、新たな挑戦を決意しました。
WPBLへの挑戦を決意した理由
WPBLの設立を知った瞬間、別府選手の胸に込み上げたのは"感動"でした。世界中の女子選手が待ち望んでいた舞台。「ついに、この日が来た。」そう感じた一方で、頭の中には様々な不安も浮かびました。「年齢、英語、距離…。『無理かもしれない』という理由が次々に出てきました。」それでも最後に勝ったのは、「挑戦したい。」その気持ちでした。
九州では女子野球の環境が十分とは言えず、多くの選手が夢を諦めたり、競技を続けられなくなったりする現実があります。
だからこそ、自分が海外で挑戦し、その姿を見せることに意味がある。「環境がないから諦める選手を、一人でも減らしたい。」その想いが、今回の挑戦を支えていました。
環境がないなら、 自分が道をつくっていく。
世界へ挑むために積み重ねた努力
トライアウトへ向けて力を入れたことは大きく二つ。一つは、海外選手に負けない身体づくり。負けない、ではなく、同等かそれ以上を目標に。もう一つは、SNSでの発信でした。世界的な実績を持つ選手が集まる中、自分は無名の存在。だからこそ、トライアウトが始まる前から、自分がどんな選手なのかを知ってもらう努力を続けました。しかし、その発信も自分のためだけではありません。
九州にも女子野球があることや、環境が少ない地域でも頑張っている選手がいることを知ってほしいという強い想いからでした。
Look Good, Play Good.
現地で最も驚いたのは、選手たちの雰囲気でした。トライアウトという緊張感のある場面でも、音楽を聴きながらリラックスし、自分らしくプレーする姿。「日本では"ミスしてはいけない"という空気があります。でもアメリカでは、自分が楽しめる状態を作ることを大切にしていました。」現地で耳にした『Look Good, Play Good』という言葉。「自信を持てる自分でいることが、最高のパフォーマンスにつながる。」その考え方は、別府選手にとって大きな学びとなりました。一方で、英語には苦労しましたが、自らジェスチャーでアピールし、内野手として出場機会を掴みました。「何も言わなければ、そこにいないのと同じ。」その言葉を胸に、自分から行動することの大切さを実感したと言います。
海外挑戦で変わった野球への向き合い方
今回の挑戦で最も変わったこと。それは、「自分の気持ちを言葉にするようになったこと。」そしてもう一つ。「野球を楽しむこと。」
今までは、証明しなきゃ、失敗できないと思いでやっていた野球。でも海外の選手たちは本当に楽しそうに野球をしていました。
その姿を見て、「何のために野球をやっているのか。」という原点を思い出したそうです。
「野球って、やっぱり楽しい。」そのシンプルな気持ちを、改めて実感した挑戦でした。
諦める理由が浮かぶなら、それは本当にやりたいこと。
未来へ挑戦する選手たちへ。
「挑戦しようと思った時に、年齢や英語、環境など、たくさん諦める理由が浮かぶと思います。でも、それだけ理由が浮かぶということは、本当はやりたいことなんです。
だから、自分を信じて一歩踏み出してほしい。」別府選手自身、その一歩が人生を大きく変えました。夢だと思っていたアメリカの舞台。ナショナルズ・パークのグラウンドに立った瞬間の景色は、一生忘れられないと言います。そして、その夢はドラフト指名という形で現実になりました。
別府選手の言葉から伝わってきたのは、「自分のためだけではない挑戦」でした。環境がないから諦めるのではなく、自分が挑戦することで未来の選手たちの選択肢を増やしたい。別府選手が踏み出したその一歩は、これから挑戦する選手たちの新たな道を切り拓いていきます。